MBAの価値

MBA

かれこれ10年前くらいに書いていた昔のブログに

“Like dissolves like”

というフレーズを引用したことがある。
もともとは当時苦戦していた化学の教科書で見つけた言葉なのだが、要は水と油は混ざらないの逆の意味で、「人も、その人と共通点のある人と混ざりたがる」というニュアンスで何か言いたかったことがあったことを覚えている。

 

2016年からIMDではAll MBA Alumni EventというMBAに限定した同窓会イベントを開催している。地の利を生かして今年も参加してきたが、これがなかなかよかった。

同窓会というと、とりあえず飲み会みたいなイメージがあるかもしれないが、IMDの場合は普通に午前8時から午後5時までケースを使ったレクチャーがある。事前に配布されたケースもきちんと読み黄色のハイライトも入れ、午前8時(Swiss time!)に教室にいるという優等生ぶりを、2年遅れでついに発揮した私である。5時にケースが終わった後は、さすがに僕らはもう大人なのでダンジョン(半地下の勉強部屋)には向かわず、久しぶりに会う同級生と、そして年度を越えてのネットワーキングパーティに向かった。

 

実は9月にはMBA以外も含めたアルムナイイベントもあるが、MBA限定のイベントというのはグローバル・ローカルのイベント問わずちょっと質が違う。同級生はもちろん、初対面の卒業生でも、IMD MBA同士の絆というか溶け込み方は独特のものがある。同級生に関していえば、例え1年ぶりに会っても、会った瞬間、昨日まで一緒にいたような感覚に陥る。初対面の卒業ですら、時期は違えどIMD MBAを通った物同士、一瞬で突っ込んだ話が始まる。不思議なものである。

 

ブログのタイトルを「MBAの価値」とした。別にNPVを計算するわけでもなく(いつかすべきと思うけれど)、MBA絶賛/酷評する気もないが、今まできずかなかったMBAの価値に少し触れたい。

最近上司が新しくなった。スペイン人だが中東で10年働いていたNYU Stern卒のMBAである。卒業してからかなり年数を経ているので卒業2年目の僕のような感覚は薄れているが、それでも度々MBAという言葉がオフィスに響く。学校も年齢も違うし、MBAに求めたもの、MBAを通して得たものも全然違うだろうが、エリートMBAとして繋がること、IMD MBA同士のそれとは比較できないが、それでもお互いに感じるなんとなくの安心感というのものがある。

10年前に”Like dissolves Like”という言葉を引用したときは、アメリカで日本人同士でかたまる日本人学生にちょっと毒を吐いた。日本人学生同士がつるむ気持ちも、例えば東京で同郷の出身の人と会えば自然に盛り上がるあの感覚も、旅行先に自分の言葉を聞いた時の安心感も、まさに”Like dissolves Like”の摂理にかなっているのだろうと思う。日本人に限らず、誰もが感じることである。

 

海外転職はもちろん、トップMBAあとの就職だと、言語も、国籍、職種、ばっらばらな環境で働かなくてはいけないケースがほとんどである。アウェイを感じるのは自分だけでなくチームの他の人も同じ。そんなばっらばらな場所で働くことになった場合の苦労は、このブログでも過去よく書いた。IMDを卒業して、トップMBAがひとつの”Like”/安心感となった。MBAを”グローバルパスポート”と呼ぶこともあるようだが、少しその意味がわかった気がする。

学位としてのMBAに特に価値は感じないが、この”Like”が、ばっらばらな場所では少しうれしい。

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