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プル型ドイツの働き方

      2016/09/16

前回のエントリーで、職場でダイバーシティを推進するためには、「違うことを認識」することが最初の一歩であると書いた。相手が自分とは違うことを認めれば、自然と色々なことをポジティブな諦めが産まれてくる。文化に限らず、ジェンダー、バックグラウンド、言語、LGBT色々当てはまる。

異文化で働いている場合は、外国人の僕と現地人のあなたが違うという事実が一目で分かるのでそれを認めやすく、その分上司・同僚・部下から受けるストレスも感じにくくなる。しかしながら、そうはいっても、国籍とか関係なしに価値を創って対価を貰う同じサラリーマン同士として、どうしても認められないこともある。僕の場合のそれは、彼らのプル型オフィスワークである。

プル型オフィスワークとは僕が勝手に作った言葉だと思うが、決して「どいつもこいつも、まったく言わなきゃレポートあがってこない!」と言いたい訳でない(一部それもあるのだが・・)。そもそも一般的に、僕の思うプル型&プッシュ型とは、

プッシュ型:常にお寿司がまわっている僕のよく行く○○ロー
プル型:  注文が入ってから握られるカウンターのお寿司屋

な感じだと理解している。注文を受ける前から流しているプッシュ型と注文受けてから握るプル型。エスカレーターはプッシュ型で、エレベーターはプル型。プッシュ型寿司屋だと廃棄になるお寿司もあるし、プル型寿司屋だとお寿司が出来るまで時間がかかる。

本題に戻して、僕がここスイスでプッシュ&プル地獄に陥る代表的なシチュエーションは以下のような感じだ。

例題:
今は10%の消費税が、1週間後に15%か20%に必ず増税されるが、1週間後までどっちになるかは分からない。しかし、1週間後には、必ずどちらか新しい消費税にあわせて値札を作り直さないといけない。しかも、増税は決定と同時に有効となる。

全ての値札を作り直すのに手作業で1日かかるが、値札を差し替えるのには時間はかからない。さあ、どうする?

こんなシチュエーションだ。

僕だったら問答無用で、増税率が決まる前に消費税15%の場合の値札と、消費税20%の場合の値札をとりあえず両方つくる。そして、決定が下り次第値札を差し替える(使わなかった方は廃棄する)。

値札は全部手作業でつくるので、コストも基本的に僕の人件費2日分だけだ。しかも、細かいことは抜きにして、決定した直後に新しい値札で出した方が気持ち良いし、そして何よりプロっぽい。

反対に、僕のまわりのドイツ人の同僚だったら、確実に15%か20%の決定を待ってから動き出す(人の方が多い)。増税率が決まってから作り出しても1日で値札は作れるので、メインストリームに影響はないと考えている。何よりも、無駄になる労力が無駄。

ここの微妙だけど大きな違いが、僕が違いを認められずに苦労するポイントなのである。僕に言わせてみれば、別に1日だけしか無駄になんないんだから、両方つくっちゃえば良いじゃん、と。

今挙げた例だとまだまだ可愛いが、例えば・・・

会社の将来を左右する重要な決定が3ヵ月後に下され、
シナリオAになるかシナリオBになるか決まる。でも、今は何もしない。

のような状況だと僕はむしろ混乱し始める。。いや、今のうちに出来る限りのことしませんか・・・と。

しかしながら、最近ひょんなことがきっかけで、僕の職場にこのプッシュ&プル型オフィスワーク論を当てはめたところ、ここ3年の疑問がだいぶ解消された気がした。僕は前もっていろんなことを準備することで余剰な在庫を積み上げているだけだったかもしれないし、無駄なく決まってから動く彼らの働き方の方がよりリーンだったのかもしれない、と。僕は、値札の更新が1日遅れることによる損害をおおげさに考えていなかったか、と。

日本だと、

上司:「これもついでにやっといてくれる?」
部下:「ああ、もうやってあります。どうぞ!」
上司:「おお、有難う!」(こいつはなかなか出来るなぁ・・)

みたいなやり取りをよく見たし、一般的に先の先を読んで在庫を積み上げるプッシュ的な働き方が美しいとされていた印象が強い(前職での個人的な印象)。

もちろん日本で働いていたときも、値札の製造に巨額の費用がかかるなどの場合には決定されるまで待つ「プル型」で動くこともあった。また、ドイツでプッシュ的に働くことも多々ある。どちらの皆様も、プル型とプッシュ型を使い分けており、今回の例もプル型&プッシュ型を使い分ける閾値が微妙ズレていたというだけの話である。(また、僕のまわりはプル型が多かった)これらは、ただ違った働き方なだけであって、スイスと日本のそれを比較するのはこれまたりんごとオレンジでもある。

しかしながら、退社時に太陽が昇っていると違和感を感じた日本での職場を思い返して、また、4時に帰るスイスの上司&5時に空っぽになるスイスのオフィスを見て、この差を生み出す多くの違いのひとつとして過剰な在庫を積まないプル型の働き方も少し影響しているのかなぁ、と思ったりもした。

 

ちなみに余談ではあるが、普段はプル色の強いドイツ人が急にプッシュ型になる時が年に数回ある。

休暇の前である。1週間~4週間の休暇の前には、ほとんどの人がちゃーんと在庫を積み上げて、自分の休暇中に他の人の仕事が動くように備えている。なので、僕の同僚もプッシュ型で働こうと思えば働けるのだ。

そんなわけで、僕も10月に取るヨーロッパで最後になるかもしれない休暇のために絶賛在庫積み上げ中です。

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