ヨーロッパの日本、アジアのドイツ

海外転職の成功の理由のひとつに、その人の現地の文化への適応性、文化の違いに対する繊細さは不可欠な要素だと思う。僕自身、至らないところばかりだが、なるべく繊細に、バイアスをかけないで物事を見るように心がけてはいる。ところで、ドイツ人と日本人を比較して、違いよりも似ていることに驚くことが多い。
前にも書いたと思う。

ただし、やはり、圧倒的に分かり合えない部分もあって、代表されるのは謝るという感覚だ。ドイツ・スイスのドイツ語圏で1年暮らして、やっとドイツ的に謝るという感覚が掴めてきた気がする。ただ、今でも圧倒的に分からない部分の方が多い。

今居る環境は、スイス的な土地柄、ドイツ的な厳しさ、アラビックなユーモアの上に、会社の文化が成り立ち、そこを日本人的な見方で見ている。もちろん、ドイツ人でも比較的簡単に謝るドイツ人もいれば、絶対に謝らないドイツ人もいる。
ただ、1年間同じ上司につかえてきて、これまで絶対に謝らなかった上司が、プロジェクトでミスが重なった時に、「Sorry」と一言だけボソッ呟いたのは衝撃的だった。

そう、良く言えば、ドイツ人の謝罪には重みがあるのだ、と前向きに思うようにしている。

謝るとは、自分の非を認めることであり、謝罪を受け取った相手は、圧倒的優位に立つ。ビジネスであれば、相手の謝罪を武器に契約を断ったり、自分に有利な条件を持ち出すことができるほどの重き行為だと理解している。

同じ行為を全く別の感覚が行う日本人には到底理解できない感覚だ。

ドイツ人は、そういった文化の中で育ったので、そうあるべきだし、当然のことだ。聞く所によると、誰もが一度は安易に謝ったことで、相手に言葉尻を取られ痛い目にあったことがあると聞く。総じてドイツ人は言葉尻を捕らえることが多い。とにかく、日本人が謝るように育てられてきたと同じく、ドイツではそうしないように育てられてきたわけだ。その文化は尊重するように心がけている。

また、今勤めている会社特有の軟弱さなのかもしれないが、謝らない変わりにJustifyする。Justifyと言えば聞こえは良いが、僕にとってはただの言い訳の寄せ集めである。上司の言い訳に心底うんざりするが、上司が長時間言い訳するときは、今日の晩ご飯が何かを予想するようにしている。

文化の違いに、善し悪しはないと思っているが、両者をスムーズに結ぼうとすると大変である。現状、幸か不幸か常に日本のパートナーに謝る側の立場にいるので、頑張っても「うまく謝れない」ドイツ人に変わって、こっそり日本語で謝罪の気持ちを伝えることは出来るが、逆に日本のパートナーに謝られる立場になったらそれこそ大変だと思う。

1年前の自分と比べて、社内でも安易に謝らない癖が身に付いてきた。
ただ、ドイツ的(うちの会社的?)に自分をJustifyすることの方が難しい。ここの文化で、自分をJustifyしないことで360度の評価が下がるのであれば、する必要があると思う。ただ、やはり難しい。

改めて、日本に帰る場所のない海外転職者の成功のキーは適応性にあるように思う。

 

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