海外転職のその後、MBA@IMDのその後

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INSEADとIMDどちらを選ぶか

      2014/09/23

敢えて実名を出すが、前職の先輩で、今でも憧れている鈴木さんに言われたことを今でも覚えている。僕が転職すべきかせまいかで悩んでいた時の話だ。

「選択肢が出来た時点で、どちらを選ぼうが必ず後悔する」

ラッキーなことにINSEADとIMDのどちらからも合格の通知を受ける事が出来た。わりと大雑把な性格なので、どちらを選ぼうがきっと幸せになれるさーと思ってたりもした。ただしどちらを選んでも、鈴木さんが言っていた通り、必ず後悔することになろう。たかがMBAではあるが、納得のいく後悔をするために今一度自分の考えをソリッドなものにしたい。

「MBAって面白そうだなぁ」となんとなく思い準備を始めた頃からNon-USの1年制MBAを考えていた。「Non-US」というのは、単純にUSの大学/院を卒業していたこともあり、今アメリカに戻る理由はないなと思っていたこと、また、ドイツ・スイスで働いてみて、USにはない欧州のカラフルさ、考え方の豊かさに魅せられたことが挙げられる。「1年制のMBA」というのは短いから、と言うだけである。世の中に2年制のMBAしかなかったら、もしかしたらMBA以外の別のことを考えてなかったかもしれない。

Non-USの1年制というとIMD、INSEAD、LBS、IE、ESADE、Cambridge、Oxford・・など、厳密に12ヶ月でなければ、欧州のスクールのほとんどが該当する。その中から自分の中で志望順位を立てるにあたって、各紙ランキングももちろん参考にしたが、各紙それぞれ「ビジネス」としてランキングしているということも分かってきたため、正直何を拠り所とすべきか分からなかった。

ネット情報だけに頼るわけもいかないので、ある程度足を使って、スイス・ドイツ・フランスに住んでいるヨーロッパ人にインタビューをするというアナログな情報収集も行った。サンプリングポイントがややセントラルヨーロッパに偏ってしまったのだが、インタビューの中で、スイス・ドイツ・フランスに住んでいるヨーロッパ人の間では、IMD、INSEAD、LBSの知名度、評価、憧れが抜きん出て高いことが分かった。(もっともスイス国内に限ればUniversity of St.Gallenの知名度は圧倒的で、またフランス人からすればHEC Parisのネームバリューも凄い)。
しかしながら、不思議なことに各紙ランキングで上位に食い込むスペイン系のIE、IESE、ESADE等の名前は多く聞かなかった。おそらくプログラムの善し悪しとは別に、スペインという国の、経済状況、失業率等の評価の悪さが彼らの中で印象を悪くしているのだと思う。欧州の優等生スイス・ドイツ圏と、のんびり南欧州の相性にも起因する部分もあると思う。

結局のところ、俗に欧州御三家と言われるIMD、INSEAD、LBSに落ち着いてしまったのだが、ここからの絞込みは限りなくフィーリングに従った。(8月IntakeのLBSは、IMDとINSEADの1月Intake(第一波)とは出願のタイミングが合わず夏以降の第二派で出願するつもりだった。そのため以下IMDとINSEADの比較となる)。

IMD:   インダストリー
INSEAD: コンサル
LBS:   ファイナンス

というのはクラシックに言われていることだと思うが、INSEADを出てインダストリーに行く人、IMDからマッキンゼーに行く人が多くいる以上、最終的にはどこの学校に行っても自分の力でなんとでもなる気がした。むしろ、コンサルに行きたいからINSEADへ・・、インダストリーに戻りたいからIMDへ・・というのはさすがにスクールへの依存度が高すぎて気持ちが悪い。自分のキャリアくらい自分でなんとかする気は持ち続けたい。

各校の位置づけと同様に、展開されているコースや授業のメソッドなども、ざっくり調べただけで選択材料としては考えなかった。それぞれに特徴はあるが、個人的にはどんなコースであろうとも今の自分の可能性を十分に広げるてくれるし楽しめると思ったからだ。しかしながら、IMDのReal World Real Learningへのこだわりには強く共感したし、INSEADのRealising Entrepreneurial Potentialのコースは取ってみたいと思った。

それと、どうでも良い事だし今探してもソースが見つからないのだが、INSEADの「どこの国にも、どこの企業にも影響を受けない中立なスクールである」という謳いは好きだった(記憶違いかもしれないが)。

またINSEADのDual/Triple Campusは面白い。アプリケーションで「どっちでも良い」を選択したら、真冬の1月インテイクなのに太陽のないFontyスタートという貧乏クジを引いた自分ではあるが・・・(シンガポールが人気なのは当たり前)。

最終的にはフィーリングで結論を出したと書いたが、フィーリングを養うためにINSEADのインフォメーションセッションには3回、他Fontyのみだがキャンパスビジットもした、IMDのキャンパスには出願前に公式・非公式5、6回行ったし、インフォメーションセッションも数回参加した。最後の判断基準としては、どちらのファミリーの一員になることをより誇らしく思えるか、が強かった。どちらのプログラムも自分にとってはもったいないほどのスクールではあるが、逆にどちらのプログラムも完璧ではない。片方も選べばどこかで必ずもう片方が良く見えるときが訪れる、最終的にはどれだけそのスクールのことを惚れ込めるかで、これからMBA生となり、アルムナイとなったときの踏ん張りが変わってくると思うからだ。

最終的には、迷いに迷って(INSEADも十分良い学校なので今でも迷っているし、この迷いはMBA中も続く事になると思う)、IMDに行くことに決めたのだが、そのフィーリングは主に2つである。(INSEADの同期も本当に優秀な人ばかりで、スクール自体もさすが世界的に認知されているプログラムだ、簡単に決められなかった。)


① 1000分の1になるか。90分の1になるか

GMAT Clubで良く見るのが、

「IMDに受かった人はINSEADに受かることも多いが、
            その逆は必ずしも常に成り立たない」

という都市伝説だ。IMDもINSEADも、国際経験・リーダーシップ・Achievement・英語以外の言語能力など似たようなものをアプリカントに求めているだけあって、欧州で行われるIMDとINSEADインフォメーションセッションでは参加者が被っていることも多い。
ラッキーなことにどちらからもオファーを頂けたが、そのアドミッションプロセスを通して、GMAT Clubで言われている都市伝説が必ずしも都市伝説ではないということを身をもって感じた。IMDの採用にかける労力と、90席全てに与えられた責任と役割、そして日本人が最も受かりにくいと言われているアセスメントデーを通じて、仮に選考基準が同じだとすると、INSEADからオファーをもらうよりもIMDからオファーをもらう方が遥かに難しい。また逆に言えば、単純にIMDとINSEADの受験プロセスだけを比較した場合、IMDに認められて嬉しいと感じる人の方が圧倒的に多いように思った。(分かりづらい自転車ロードレースで例えれば、普通に勝った時と、残り50km単独で逃げて勝った時嬉しさぐらい違う)

ただ受験準備中、IMDのそのブティックさは、僕の中でのネガティブ材料のひとつであった。元来、大量生産されている超有名なブランドより生産量の少ない職人ブランドを好む傾向にある自分とはいえ、さすがにIMDは小さすぎる。僕を含む多くのアプリカントの胸の内には、MBAに行く目的のひとつとして「ともだち100人できるかな」がある。残念なことにIMDじゃ友達100人出来ないのだ、10人足りないのだ。

その疑念が晴れたのはIMDに公式キャンパスビジットに行ったときだった。IMDはキャンパスビジットもIMDネスに溢れており、1回のビジットも少人数限定。そのため、実際に現役MBAが受けている授業に潜り込ませてもらえる(INSEADの公式ビジットデーの場合は参加者が大勢のため特別講義が用意されていた)。90人がいるオーディトリウムに入った瞬間驚いた、その数に。ついつい紙の上では、INSEADの1000人とIMDの90人を比較してIMDの過剰な小ささを想像してしまっていたが、実際に世界中から集まった90人のエリート(Class of 2013)を目の前にして、この90人がいれば世の中の大抵の事は出来るなと確信した。(あのオーディトリウムに90人は詰め込み過ぎでは?とも思ったのは内緒)。
もともと日本で「ものづくり」学んだので、「現場主義」というのは今でも自分のDNAとして組み込まれている。そのため、今でも製造現場&クリーンルームには誰よりも頻繁に入り実際に目で見て感じることを大切にしているが、受験プロセスにおいて、机上での1000と90の数字の比較で偏った先入観を抱いていた自分を少し反省した。

そんなこんなで、責任と役割のある一席を与えられ90分の1に選んでもらえたことを心の底から誇りに思うし、残りの、別の責任と役割をもった選ばれし89人と共に1年過ごしたいと強く思った。

② IMDで働く人のエンゲージメントの高さ

IMDに一度でもコンタクトを取った事がある人ならば、その対応の良さは感じる事と思う。日本のスタンダードに慣れきった人であれば、「ああ、スイスって日本みたいに対応良い国なんだー」と程度にしか思わないかもしれない。それは大間違いである。IMDの対応は決してスイススタンダードではない。

INSEADの担当アドミッションオフィサーにメールをしても基本的に返事はない場合が多かった。返事が来たとしての、ヨーロッパスタンダードな対応が多かった。これは決してINSEADのアドミッションオフィサーの対応が悪いわけではない。本当に、ヨーロッパで普通の対応なのだ。しかもアメリカンスタンダードよりはやや良い(と、思う)。僕は日本、アメリカ、スイス、ドイツにしか住んだことがないが、それでも製薬業界で言う「三局対応」はしている。そんな僕なので日本の外では「サービスはお金を払って買うもの」だとデフォルトで思い込んでいたが、一連のIMDの対応にその考えを改めた。

特に印象に残っているエピソードは、合格後のビザサポートだ。スイスでの労働許可をキープしながら1年間学生をしつつ、さらに僕のビザで働いている嫁にも働かせ続けたかったので、「何か良い方法はない?」とIMDのサポートに問い合わせた。スイスの場合、カントン(州)によってシステムは違うし、こんなケースの前例は少ないだろうし、最終的な判断はどうせ市役所でしか出せないので「市役所に聞いてね♪」と返事が来るのは分かっていた。しかし、さすがIMDの対応は違った。まずA4で1ページ相当に渡って可能性のあるオプションを一緒になって考えてくれ、最終的には、実際にローザンヌの市役所に直接赴いて問い合わせをしてくれたのだ。たかが90分の1の僕だけのためにである。
本来であれば、彼女の役割は「MBA生の」ビザサポートをするだけであって、嫁の事は彼女の責任の範疇ではなく、僕もセオリー通り今の就労ビザを破棄して新規に学生ビザを取得すれば最低限の労力で済む。彼女はこんな面倒なことに協力する義務はない。
そんな訳なので、仮に彼女がホスピタリティーの教育を受けていたとしても、彼女が仕事を好きでモチベーション高く維持できるエンゲージされた状態でなかったら、こんな対応はなしえなかったと思う。

また別のエピソードとして、非公式にIMDのキャンパスに遊びに行ったときの話が思い出す。ダンジョンで現役MBAから色々話を聞いているときにメンテナンスのおじちゃんがやたら感じが良い事が少し気になった。そのときは目先のエッセイを書く事の方が大事だったので気にも留めなかったが、アセスメントデーでランチを一緒にした現役MBAに教えてもらったことが、その記憶を呼び戻した。

「IMDのカフェのおばちゃんは、MBA90人全員の顔と名前、
そして好きな飲み物を全部覚えている」

これにもまた驚かされた。ちなみに僕の会社のカンティーンのおばちゃんは、2年間ほぼ毎日通っているのにも、僕が小食であることを未だに覚えてくれず、毎回超盛ってくる。比較対象がおかしいが、IMDのまるでディズニーランドのような組織力に驚いた。

スイスの給与は近隣諸国から比べればとても良いと聞く。IMDの近くには世界的に有名なホテリエの学校があると聞く。IMDのMBAはおまけであって、メインのターゲットは世界中から集まるエグゼクティブであると聞く。

しかしながら、アドミ、メンテのおじちゃん、カフェのおばちゃんの対応の良さはそんなハードファクトだけで説明がつくとは思わない。それぞれがそれぞれの意義を感じながら好きな仕事をする、高いエンゲージメントなくしてはなし得ない。
IMDとて一企業である。そしてそのIMDにとって僕はお客のひとりに過ぎないが、そんなファミリーの一員になれるのは本当に誇らしいと思った。そしていつか自分が大きなチームを率いる時のために、どうやって組織の隅までエンゲージメントの高い状態をつくりだしているのか、1年かけてじっくり見学びたいと思う。

INSEADにときめいた理由もこれ以上にたくさんあるが、最後、何が僕に刺さったかどうかだけの問題だった。

と、ざっくり上記のことをプレMBAで思ったりしました。と、いうわけで、選択肢を選んだら、あとは自分の選んだ選択肢に自信を持って、これからの生活の中で自分の選んだ選択肢をベストな選択肢とすべく育ててゆくだけかと思います。そうすれば、いつかきっと良い後悔が。。

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